PMBOK7版とヌーヴェル・ヴァーグ
システム界隈にいなければ、PMBOKはなんのことやら?と思われる人が多いかと思います。
PMBOKは、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」の略語で、ソフトウェア開発のプロジェクト管理に必要な知識が網羅されているものです。
その最新版、PMBOK 第7版が8月に出たとのことで、こちらのレビューを読みました。
流行りのVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)を反映してるようです。
計画をみっちり立てて、適する技術者を配置して段取り通りに完遂する建築的な方法(ウォーターフォール型)から、簡単な試作品を素早く作って徐々に完成度を上げるアジャイル式になり、そこからさらに場を作ることが重要になってきたという印象です。
そこからふと、「これって映画のヌーヴェル・ヴァーグと通ずるところがあるのでは?」と感じたのです。
ヌーヴェル・ヴァーグは1960年前後に始まった映画の制作手法の流行で、素人同然の監督や役者で、舞台装置も作らずロケで撮影し、即興で演出するものです。
監督の持つイメージ、テーマが映画に表現されれば良いわけで、そこにはこういう演技でなければいけない(技術)というものはなく、むしろ出演する役者自身の個性が引き出された結果、生々しくテーマが浮き彫りにされる、というやり方で映画が作られています。
そこでまた思い起こされるのが、和製ヌーヴェル・ヴァーグの大島渚。
代表作「戦場のメリークリスマス」ではビートたけしと坂本龍一が役者として出演してますが、たけしはまだいいとして、坂本龍一は陸軍の将校なのに謎のビジュアル系メイクバリバリだし、棒読み演技(笑)
あの映画が良いのか悪いのか正直よくわからないけど、すごく印象には残ってしまうんですよね。
大島渚はビートたけしも坂本龍一も信頼して好きに演らせたそうですし、でもその一方で、出演した二人はこんな風に撮られてると思わなかったという感想のようで、制作に関わる人達が予測不能なところが大きいのかと感じます。
たけし「全然写りが違うじゃない?(中略)あれ、こんなセリフを言ってたのかって思うじゃない?」
教授「全然意識していない動きとか、体もだけど、してるよね」
(中略)
たけし「宇崎竜童と話してたんだけど(中略)一番自分の嫌なところを拾ってくれる、それがいい監督なんだって」
教授「……じゃ、いいのかな」
坂本龍一×ビートたけしの撮影直後のラジオ対談
※「教授」というのは坂本龍一のことです。
不確実性が大きくなればなるほど、人間性が重要になってくるのだろうと思います。
システムエンジニアリングの世界も、個性ということを考えてもいいのかもしれません。
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